これは有名なイタリア人科学者 Galileo Galilei があの宗教裁判で残した言葉です。
科学は「仮定 実験 証明 結論」というプロセスの思考であり、宗教は「神 善悪 戒律
結論」というプロセスの思考であると言われています。それでは医学、歯学も含めて自然科学ははたして科学的思考プロセスからのみ産まれたのでしょうか?そうだとすれば「今日があれば必ず明日」がなければなりません。しかし必ずそうとも限りません。ただ「今日は昨日があった」からあることは間違いありません。
私が病理の講義をしていた30年前は、中枢神経、心筋は絶対に再生しないとどの病理総論の教科書にも書いてありました。そしてそのように教えてきました。が一抹の疑問を持っていました。そして教室をあげて「成熟個体における組織誘導」の仕事を行い、未分化間葉系細胞(今で言う組織幹細胞)の存在を証明しました。歯周組織再生療法の基礎になりました。
今は中枢神経も心筋も再生することが証明されています。倫理的に様々な問題を含む胎生幹細胞を使わなくても良い時代がそこまで来ています。昨年は京都大学が線維芽細胞にわずか4つの遺伝子を導入することにより、万能性を持つ細胞 ( induced pluripotent cell )を作ることに成功しました。科学の発達にはただただ頭を下げるだけです(この文章を校正中にビッグニュースが飛び込んできました。この万能細胞を作った京都大学再生医科学研究所の山中教授らが、ヒト皮膚の細胞に同じ遺伝子を導入し、胚性幹細胞(ES細胞)と同じ能力を持つ万能細胞を作ることに成功し、20日付けの「Cell」電子版に発表しました。再生医療は新しいステージに入ったと言えます。まさにノーベル賞級の研究成果でしょう)。
しかし我々臨床家の最も真摯な行き方は愚鈍かもしれないが、今の経験に基く科学に沿って、常に過去を振り返り地道に進めて行くことなのかも知れません。「 lo specchio, sopratutto lo specchio e il tuo maestro 」(鏡が、何よりも鏡がお前の先生だ)Leonardo Da Vinci
この鏡 lo specchio を患者 lo paziente に置き換えてみたらどうだろう。